男性はほぼ2種類の脱毛パターンですが、
女性の脱毛は色々なパターン(種類)があります。
女性型脱毛症(Female Pattern Hair Loss; FPHL)には
どのような種類があるのか、あなたはどのタイプなのか、考えてみましょう。
Contents
女性型脱毛症(FPHL)は色々な種類がある
上でもお伝えしたように女性型脱毛症は色々な種類の女性における薄毛をまとめた呼び方です。
最新の定義によると(Sinclair and Dawber 2001)、
休止期脱毛(妊娠と薬を含む)
女性男性ホルモン性脱毛症(FAGA)
円形脱毛症(広い範囲で起こるもの)
瘢痕性脱毛症
放射線治療
栄養不足(飢餓、小腸などの栄養吸収不足、過激なダイエットを含む)
甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症
慢性腎障害
梅毒
急性エリテマトーデス
進行した悪性腫瘍
などがあります。
なんかいっぱいあるけど…わかりにくいかも…
ですよねー、私も書いていて大変です(^^;)
まぁ、ざっくり言えば、
女性型脱毛症(FPHL)は
妊娠・薬など(休止期脱毛)
男性ホルモン(女性男性ホルモン性脱毛症(FAGA))
ストレス(円形脱毛症(広い範囲で起こるもの))
遺伝子の影響(瘢痕性脱毛症、急性エリテマトーデス)
甲状腺の異常(甲状腺機能低下症または甲状腺機能亢進症)
腎障害(様々な要因がある)
梅毒(性交渉)
放射線(治療)
悪性腫瘍(遺伝や生活習慣)
が原因の薄毛をまとめて呼んじゃっているってことです。
薄くなり方としては、だいたい似たような感じで、
頭部全域(中央部からツムジにかけて)髪の毛の密度が薄くなるタイプが多いです。
一般的には男性のような額のハゲ上がり方はなく、
生え際は維持される傾向にあります。
毛穴(毛包)が小さくなり、産毛化(軟毛化)するのが特徴的で、
健康な毛の直径は0.06mmですが、産毛化した毛は0.03mm以下になります。
円形脱毛症(ストレス)だけはちょっと異なった抜け方をします。
有名な10円ハゲですね。
10円玉くらいの大きさの範囲で髪の毛がごそっと抜け落ちます。
シャワーの時や、ブラッシングの時に抜け毛が多いことに気がついたら要注意です。
一般的に健康な頭皮でも毎日50-150本は抜けますが、
1-3ヶ月にわたってそれ以上抜け続ける場合、
女性型脱毛症(FPHL)の可能性がありますから、お医者さんに相談しましょう。
女性型脱毛症の薄毛の目安と頻度
円形脱毛症以外の女性型脱毛症の薄毛の程度を測るとき、
今は主に3種類の目安が使用されています。
Ludwig式
グレードIは頭頂部(中央部からツムジにかけて)の髪の毛が細くなり、おでこの生え際が1-3cm後退している状態
グレードIIはグレードIの領域で見られる髪の毛がとても少ない状態
グレードIIIはグレードIやIIで見られる髪の毛が完全になくなった状態
Savin式
Savin式はLudwigタイプの薄毛を細かく分類し、
さらにおでこ側からの薄毛も含めたものです。
Sinclair式
グレード1は正常10代後半の全ての女性で見られるが、80歳以上では45%しか見られない
グレード2は中央の分け目が広くなる
グレード3は中央の分け目が広くなり、分け目の両側の毛が細くなる
グレード4は頭頂部(中央からツムジに向けて)の毛の消失が明らかに広がる
グレード5は明らかに毛の消失が進んだ状態
LudwigのグレードIIIやSinclairのグレード5ほどの薄毛の人は
非常に少なくて1%以下の割合です。
女性型脱毛症になる割合は?
29才までに12%の女性
49才までに25%の女性
69才までに41%の女性
79才までに50%の女性
が女性型脱毛症になると言われています。
80才以上の女性で女性型脱毛症ではない人は
43%程度しかいないそうです。
参考元:Gan and Sinclair 2005
それではそれぞれの薄毛の種類がどのようなものか見ていきましょう。
あなたはどのタイプでしょうか?
妊娠・薬などによる休止期脱毛
頭には数十万本の毛が生えています。
髪の毛はそれぞれが周期的に生え変わっています。
まぁ、簡単に言えば、抜けて生えての繰り返しってことですね。
ヘアサイクルについてはこちらのページが分かりやすいです。
ヘアサイクルって何?あなたは本当に理解していますか?
このうち、正常な頭皮では、
80-90%が成長期
10-20%が退行期
1-2%が休止期
です。
つまり、ほとんどが成長中の髪の毛ってことですね。
この1-2%しかない休止期の毛包が増えることで
髪の毛のない領域が増えて薄毛になってしまいます。
頭髪の状態としては、
太くて長い髪の毛が多いのに薄い場所が目立つような薄毛になります。
多くのFPHLは、細く短い髪の毛が目立つのでこれが目安になるかもしれません。
この薄毛のタイプになるのは
・ 妊娠している
・ 出産した
・ 薬を飲んでいる
といった方の可能性が高いです。
妊娠の影響の場合、時間とともに髪の毛は増えますから安心してください。
悩み過ぎず、帽子などをかぶることでその時期をやり過ごすことが重要です。
あなたがもし薬を飲んでいる場合、お医者さんに相談しましょう。
→休止期脱毛を起こす薬はどんなのがあるの?
女性男性ホルモン性脱毛症(FAGA)
男性型脱毛症(AGA)が女性で起きた場合に、
「女性男性ホルモン性脱毛症(Female AndroGenic Alopecia, FAGA)」と呼ばれます。
原因は男性ホルモンのジヒドロテストステロンが抜け毛を起こすことです。
髪の毛の成長を助ける女性ホルモン
と
髪の毛を抜け落とす男性ホルモン
のバランスが崩れた時に起きやすいです。
ホルモンバランスが変わる閉経後の女性に多く見られます。
頭部全体で毛が細く短くなったり、
毛の数が減ることで分け目が目立つようになることが特徴です。
現在、病院でしてもらえる治療は、
抗男性ホルモン薬(酢酸シプロテロンやミノキシジル)などです。
→女性男性ホルモン性脱毛症をくわしく知りたい
円形脱毛症(広い範囲で起こるもの)
主な原因はストレスです。
薬などによって起こる休止期脱毛症に似ているため、
お医者さんに診断してもらうことが重要です。
薄毛のパターンとしては、
10円玉ぐらいの大きさから頭部全域の範囲で髪の毛がごっそりと抜け落ちます。
治療方法は
ステロイドや塩化カルプロニウムなどを患部に塗る
または
グリチルリチンやセファランチンといったお薬を飲む
といった方法が主流です。
→円形脱毛症については追記予定です。
瘢痕性脱毛症
ケガ・火傷などが原因となって起こることが多いです。
女性の前頭部繊維化性脱毛症(female fibrosing alopecia(FFA))といった脱毛もあります。
この脱毛症は、毛の抜けた場所がテカテカと光るような皮膚になる特徴があります。
抜け始め初期に対処すれば改善することは可能ですが、
時間をおいて皮膚がテカテカと光るような状態になってしまうと、
髪の毛を生やすことは難しくなってしまいます。
気になる抜け方をしているあなたはすぐにお医者さんに相談してください。
→female fibrosing alopeciaについてくわしく知る
放射線治療
放射線治療を受けると髪の毛が抜け落ちてしまいます。
この場合、事前にお医者さんから説明を受けることになっています。
帽子やウイッグを活用しましょう。
治療を終了して数ヶ月すれば髪の毛は戻ってきます。
思い悩みすぎないようにしましょう。
栄養不足(飢餓、小腸などの栄養吸収不足、過激なダイエットを含む)
女性に多いのがこちら。
過激なダイエットなどにより十分な栄養が頭皮に届かないと、
ヘアサイクルが乱れて薄毛になってしまいます。
食事の乱れであれば自分で気をつけることができますが、
なんらかの疾患により栄養成分が体に吸収できない時にも抜け毛は起こります。
その場合、
食べても太らない・食べているのに貧血になりやすい
といった自覚症状があるでしょう。
心当たりのあるあなたはお医者さんに相談してください。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症が薄毛の原因になることもあります。
慢性腎障害
慢性的な腎障害が薄毛の原因になることもあります。
梅毒
実は性感染症である梅毒も薄毛の原因になります。
日本では全年齢層を平均すると
100万人あたり4人の女性が梅毒で病院を受診しています。
20-24歳が100万人あたり13人と一番多く、
25-29歳が100万人あたり9人と二番目に多い世代です。
コンドームの使用で高確率で防ぐことができますから、
積極的に使用していきましょう。
情報元
急性エリテマトーデス
急性エリテマトーデスが原因で薄毛になることもあります。
進行した悪性腫瘍
悪性腫瘍が原因で薄毛になることもあります。
まとめ
ご覧いただいたように、女性型脱毛症(FPHL)は様々な原因で起こります。
女性男性ホルモン性脱毛症(FAGA)以外の脱毛はお医者さんの診断・治療が極めて重要です。
まずは病院でお医者さんに診てもらいましょう。